これと決めた 1冊を究める 《続々編》

 

以前に『これと決めた 1冊を究める』というタイトルで,私が大学受験生だった頃に英語の学習で取り組んでいた参考書を紹介しました。

今回は和文英訳 (いわゆる英作文) 対策用に取り組んでいた 1冊を紹介します。

 

私が和文英訳対策として取り組んだ参考書は『基本英文700選』(駿台文庫) です。

現在は『新・基本英文700選』として改訂版が発売されており,英文のブラッシュアップもさることながら CD も付属されてパワーアップしています (私の頃はテープでした (しかも別売り))。

 

『基本英文700選』は格調高い英文の数々で,大学受験レベルに止まらない英語力をつくるという意味でも有用な参考書と言えます。

左ページに英文,右ページにその和訳文という構成ですから,私は英文を繰り返し書いて暗記し,右ページの和訳文を見れば英文が出てくるレベルにまで昇華させました。

ただ,基本とは銘打たれているものの各英文のレベルは非常に高いため,高1生の頃にリーディングの教科書の予習をやり込んでいなければおそらく理解できなかったことでしょう。

単なる暗記で終わらせないよう,なぜその表現になるのか等も辞書や傍用文法書 (高校の指定図書だった『コンプリート高校総合英語』(桐原書店)) と日々格闘しながら突き詰めていきました。

 

先日,当塾の高3生 (理系) が「『基本英文700選』は断念した」と話していました。志望校から考えても本音としては取り組んでほしいところですが,人により合う合わないもありますからね。

ちなみにこの生徒の 5月の全統記述模試の英語科偏差値は72.6 (全国平均点は64.9点,本人の得点は152点) に達しており,順調に仕上がってきています。

 

私が高校生の授業時に紹介する例文は,その多くが『基本英文700選』で得たものがベースになっています。

当時につくり上げた “引き出し” が,現在の仕事 (授業) や海外の文献等を読む際に今も役立っているのです。言うまでもなく,大学受験時や在学時にも役立っていました。

 

単語は『速読英単語 必修編・上級編』(増進会出版社 (現 Z会出版)),文法は『基礎英文法問題精講』(旺文社) で基礎をつくり,並行して『基本英文700選』(駿台文庫) に取り組みました。

これが高1生の冬から高2生の秋にかけての取り組みです。

単語・イディオムだけでなく,短文を暗記することで英作文問題への対応力を高めようとしていたのがこの時期です。

 

和訳および解釈は,以前のブログでも紹介した『英文解釈教室』(研究社) と『英文和訳演習 上級編』(駿台文庫) で,これらに取り組み始めたのが高2生の冬です。

もちろん,『速読英単語』と『基本英文700選』はさらに深化させるべく 5周目・6周目へと突入していきました。

このマッチングに加えて長文読解への慣れは専ら英字新聞で,良書に出会えなかったこともあって下手な問題集には取り組みませんでした。

 

よく生徒たちにも話していますが,どの科目においてもプラスアルファのことに取り組むには学校の授業はもちろん各種課題を卒なく熟せることが条件です。

これらが儘ならない状況でプラスアルファに取り組んでも成果は出ません。

現在の高1生・高2生の進研模試で言うと,偏差値75程度に到達できていれば更なる上積みをしていく準備が整っていると言えます。

偏差値60にも到達できていないようであれば,英語ならばまずは単語と文法をきっちりと,数学ならば『Focus Gold』や『チャート式』といった傍用参考書と向き合うことが必要になります。

 

基礎を疎かにして無暗に問題集に取り組んでも到達できる地点は高が知れています。

高校受験レベルならば問題を解きまくるやり方である程度の結果を出せても,難関大学受験レベルとなると話が違います。実状はそう生易しくはないのです。

 

最後に,上記した英語の各参考書 (『基本英文700選』⋅『英文解釈教室』⋅『英文和訳演習』) は,京都大以上のいわゆる難関大を目指す際に必要になるものです。

国公立大でも英語はセンターのみといったケースはもちろん,私大をメインに考えている受験生には難易度が高すぎますから,その場合には全く別のアプローチが必要になります。

 

物事には順序や適性がありますし,根気よく取り組む,目標を持ってやり込むことでようやく成果の出せる参考書ですから,決して万能ではないということも併せて申し上げておきます。