知の継承

 

当塾は開塾以来,Web や紙媒体で人材募集を一切行なってきませんでした。

 

その理由としては,私は塾教員としての24年のキャリアで,学歴があるだけのつまらない人材,使えない人材を数多く目の当たりにし,幾度となく嫌な思いをしてきたからです。

私は以前の会社で長くアルバイト採用に携わっていたのですが,Web や紙媒体からの応募者で採用したいと思える人材は10人に 1人いれば良いほうでした。

 

数回の面接で本質を見抜くことは難しいですし,そもそも採用したいと思えるレベルの人材がアルバイト募集の市場にいる可能性は限りなく低いというのが現実です。

特に地方はこれが顕著であり,岐阜も例外なくこれが当てはまります。

 

年中にわたって人材募集をしている塾や予備校を見かけますが,業務拡張のためなどと銘打ってはいるものの,実態は退職者の補填だと思われます。

 

 

以前のブログでもお伝えしたように,当塾で勤務する社員,アルバイト講師は全員が私の教え子であり,共に大学合格まで戦ってきた間柄です。

現在は 2名の社員と 8名のアルバイト講師が地域の皆様に “教育における貢献” を果たすべく,子どもたちと日々向き合ってくれています。

 

当塾は開塾から 6年が経過しましたが,これまでに社員の退職はありません。

厚労省の統計によると,塾を含む教育サービス業は 3年で半数近くが退職するとのことですから,当社の 2名はよく頑張ってくれていると思います。

 

学生講師は開塾からの 6年間で累計16名を雇い,これまでに 8名が退職しています。

退職者 8名の内訳は 6名が大学および大学院の卒業に伴うもので,残りの 2名は留学等の理由で卒業を待たず中途退職したことによるものです。

 

大学・大学院の卒業までやり遂げた当塾のアルバイト講師 6名は,誰もが知る大企業に 3名,公務員 2名,病院 1名と就職においても結果を残しています。

今春に退職の 2名も,高校部の生物・化学の指導を担当していた 1名は名古屋市内の病院に,中学部の社会と高校部の日本史の指導を担当していた 1名は人材サービス最大手の企業に就職しました。

 

学力・人間性は申し分なく,卓越したプレゼンテーション能力も兼ね備えているとなれば,就職でも結果を残すことは至極当然と言えます。

 

 

私が教え子を採用する理由は,先述したように外部採用だと当たり外れが大きいということもありますが,最たる理由としては彼らに『知の継承』を期待しているからに他なりません。

 

先輩から学んだことを講師として後輩たちに継承し,またその後輩たちが講師となって指導する側に回る。

当塾ではこれを『知の継承』と呼んでおり,この『知の継承』によって当塾の合格実績がつくられていると言っても過言ではありません。

 

先述したように当塾には現在 8名の講師がおり,全員が名大や岐大など国立大学に在籍する大学生です。

生徒たちにとって講師は授業をしてくれる先生であり,その科目を究めた模範的存在であり,良きお兄さん・お姉さんであり,良き相談相手であり,かつ,生徒たちにとっての目標でもあります。

 

正社員だから良い,またはいわゆるプロ講師だから良い。さらにはそういった者が指導にあたれば必ず成績が向上する,または志望校に合格できるというのは幻想に過ぎないと私は考えます。

その地域で育った者が指導者に対して感謝の念を持ち,そして地域に貢献したいという意識を持って指導にあたることによっても,大きな成果を生むことは可能なのです。

 

私の教え子たちは『知の継承』を繰り返し,脈々とバトンを受け継ぎながら,塾生たちはもちろんのこと大学生も含めた私の教え子全体が成長を続けているのです。