将来設計指導《 9月度》

 

本日,第5回目となる将来設計講座『みらい』を実施しました。

今回は “プロフェッショナルから学ぶ” をテーマに公立中学校の教諭を招き,小4生から中2生,および教職志望の高2生・高3生を対象に講演を聴いてもらいました。

 

 

本日実施した講演の骨子は以下の通りです。

 

・中学生および高校生の頃を振り返って (取り組み全般,高校受験,大学受験)

・なぜ小中学校の教諭を志し,その職に就いたのか

・中学校教諭の 1日 (平日・休日)

・中学校教諭のやりがい

・小中学校の教諭 (公立) になるためには,また,教諭にはどんな人が適しているか

・今後の目標

 

彼は私が以前に勤めていた塾で共に指導にあたった仲間で,中学生・高校生の国語を担当してくれていました。

当時の高校生指導は私が英語 (・生物),彼が国語,6月の将来設計講座を担当してくれた薬剤師が数学・物理・化学の授業を行なうというものでした。

今はそれぞれが別々の道を歩んでいるわけですが,2名とも立派に社会に貢献してくれていることも私には嬉しい限りです。

彼は当塾が行なう大学受験へとつながる国語科指導の礎をつくってくれた功労者でもあり,現在,当塾で国語を指導している教員も彼の教え子にあたります。

 

彼の受け持ってくれていた学年は岐阜県の公立高校入試本番で平均点が 9割超,センター試験で現代文・古文・漢文でそれぞれ満点獲得者がいるなど大きな成果を残しました。

教科指導の上手さは言わずもがなですが,読書を通じて語彙を獲得する重要性を日頃から生徒たちに語り,それを実践させていたという点でも私は彼を高く評価しています。

公教育の場に活躍のステージを移して今年で 6年目を迎えますが,公教育においても彼の強みは遺憾なく発揮されていることと確信しております。

 

 

7月に今回の講演の話を持ちかけたところ,彼は二つ返事で引き受けてくれました。

私が提唱する “知の継承” にも賛同してくれており,講演後は教職を志す高校生に対して一人ずつアドバイスを行ない,生徒たちはさらに目標の具現化ができたと喜んでいました。

 

彼との付き合いは10年を超えましたが,今後も公私にわたって交流を続けていくつもりです。

 

私の英語科の指導方針 Vol. 001《小学生編》

2015.04.23_for blog_001

 

現在,私は小5生から高3生までの英語科の集団指導個別指導を担当しており,2015年 9月時点で中高生に対する指導歴は18年 6ヶ月,小学生に対しては16年 6か月となりました。

私は一貫して “例文主義” であり,確たる語彙力と文法知識なくして真の英語力は身につかないと考えております。

 

それらをベースとして “多読” と “多聴” を繰り返すとともに,書く・話すなどの “発信” も繰り返すことで揺るぎない英語力を獲得させる。

時間はかかりますが,これが私の考える英語科指導のゴールであり,大量の問題演習を通して身につく各種試験等に特化した薄っぺらい英語力とは一線を画するものです。

 

それが可能なのは,最長で 8年間にわたって指導ができることが何より大きいのだと考えます。

当塾に在籍する高3生の中にも私の指導を受けるようになって 8年目という生徒がおりますし,高2生に目を向けても 7年目という生徒が結構います。

中学・高校の 6年間というパターンも多く,当塾を推薦する声を寄せてくれている京都大に進学した櫻井くん,名古屋大に進学した河合くんも同様に 6年間です。

 

数回の連載で,私の英語科のステージごとの指導方針や授業の進め方に関して綴ろうと思います。

第1回目となる今回は,小学生の英語科指導に関して綴ります。

 

小学生は小5生・小6生のみ英語科の集団指導コースを開講し,月2回の指導を行なっております (小学生は英語科の個別指導コースは開講しておりません)。

英語科の指導が専門ではありますが,小学生の間は英語よりもむしろ国語の学習や読書のほうがはるかに重要であるというのが私の意見です。これはまた別の機会に綴ることにします。

英語に関してあくまで中学入学準備と位置付けて単語や英文を繰り返し書き,発音して,英語に慣れてもらおうというのが狙いです。

例えば小5生であれば,2年間をかけて中1生の履修内容を網羅するイメージです。現在の小5生は,小6生の 1月に英検 5級を受検してもらおうと考えております。

 

熱心な方からは「小6生の 1月で英検 5級は遅いのではないか」などと聞こえてきそうですが,私は単語や文法知識が固まっていない状態で英検を受検し続けてもあまり意味がないと考えます。

もちろん,次々と級を取得することで大きな自信になるでしょうし,英語が好きになる等のメリットも考えられますから,その頑張りを否定するつもりはありません。

しかし,ライティング (書き取り) のないマーク式の解答方式ですし,スピーキング力の問われる二次試験のない英検 4級までは「なんとなく」で合格できてしまうことも事実です。

 

例えば英検 4級であれば比較の単元が出題されますが,穴埋め問題で解答欄の直後に than があれば,「おそらく -er か more の付いているこれだな」と解答できてしまいます。

比較級をつくる際,どういう場合においては形容詞または副詞に more が付されるのか,または er が付されて語形が変化するかはここでは問われていないわけです。

さらには than の品詞は何なのか。こういったことにも関心を持って辞書等で調べて理解することが学習の本質であり,ただただ暗記すればよいというのは寂しい限りです。

than は中2生で習う when や because と同じく副詞節を形成する接続詞ですが,これを知ろうともせず直後に人称代名詞ならとりあえず主格を放り込むという解法が罷り通っているのです。

 

つまり,過去問等をある程度熟してさえいれば,背景知識が少々足りなくも正解できてしまうというところが問題であり,漢字のように “読めるけれども書けない” と似た状態に陥ってしまうのです。

小学生で英検 3級や 4級を取得できていても,中学生で明らかにライティングの力が不足しているケースが私のこれまでのキャリアにおいても見られました (もちろん全員ではありません)。

こういうことからも,私は各級で求められる知識,例えば英検 3級を例にとると関係代名詞や間接疑問文まできっちりと学んでもらったうえで受検させる方針を貫いております。

 

漢字検定と同様に,私は英検に関しても『受検するならば満点で』という考えを持っています。

なんとなく,または過去問や類題を熟すことで合格したケースでは,先日のブログでも取り上げたように本当の意味での達成感は得られないばかりか,英語力は身についていないのです。

 

“日常生活において使わない言語” だからこそ丁寧に。

さらには,リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの 4技能をバランスよく鍛えることが,真の英語力,つまり “使える英語” にしていくためには重要なのです。

 

中学生の頑張り 《前期期末テスト・続編》

2015.09.17_for blog_000

 

当塾に在籍する蘇原中の中1生が,前期期末テストの平均点および偏差値が記された成績個票を持ってきてくれました (個人情報のため,組・出席番号・氏名は消し込んであります)。

偏差値は内輪の数値ですからあまり興味がないものの,平均点に関しては前期中間テストと比較すると 5科計で実に36点もダウンしており,私はむしろこちらに目が行きました。

 

先日のブログでも取り上げましたが,やはり中1生の前期中間テストから期末テストにかけては得点がダウンするものです。

個票を持ってきてくれた生徒は中間テストが450点で,今回の期末テストは454点。

わずか 4点のアップとは言え,平均点がこれだけ下降している中で健闘したと言えますし,過去問や予想問題の類に一切取り組まずにこの結果ですから,非常に価値ある結果と言えます。

 

私は彼女が小5生だった時から指導しており,指導開始からすでに 2年半が経過しております。

もともと努力家であることは言うまでもありませんが,私から見て,この 2年半の間に彼女が確たる学習習慣を身につけたことが何より光っています。

 

小学生または中1生の頃から指導させていただいている当塾に在籍する中高生たち,または小学生の頃から指導させていただいて大学受験まで共に頑張った教え子たち。

これまでに高校受験・大学受験で大きな成果を生み出してきた生徒たちは,その多くが小学生または中1生から私が指導させていただいている生徒たちです。

当塾を推薦する声を寄せてくれている京都大に進学した櫻井くん,名古屋大に進学した河合くんも中1生の頃から大学受験まで指導した私の教え子であり,これは枚挙に暇がありません。

 

進路探究塾 Mirai は小1生から高3生まで指導を行なう塾です。

中2生・中3生から,または高校生からでも結果を出した生徒はいないわけではありませんが,早い段階で当塾にお預けいただければ,お子さまが大きな成果を残せる確率はぐっと上がります。

 

探究コーナー “はなれ”

 

当塾には『探究コーナー』なる書籍をまとめたスペースがあることを紹介しましたが,『探究コーナー』には “はなれ” が存在します。

 

『調べもの』というタイトルのブログで紹介した,生徒たちが調べものをする際に使用する辞書類や教科書,参考書などをまとめた棚を事務所カウンター横に設置しています。

上段は小中学生が使用する教科書や参考書類,下段は高校生が使用する各種教材としておりましたが,これを小中学生用と高校生用とで 2台に分けることにしました。

 

 

当塾の中学生は,自習に来た際にここに設置してある書籍をフル活用してくれています。

テキストやノートを片手に,カウンターに参考書や辞書を広げて調べものをする。メモを取ってまた自習室に戻っていく。こんな光景が日々,繰り広げられています。

カウンター越しに教員に質問する場面も見られ,うまく使ってくれているなあと嬉しくなります。

 

 

小学生もここに設置してある書籍には興味津々です。

国語辞典や漢字辞典などの小学生用のものも設置していることもありますが,「こんなことを中学校で習うのかあ」と教科書を広げている小学生の姿も見受けられます。

それらをより手に取りやすくするため,今回は下段に小学生のための書籍を拡充しました。

 

 

今回,新たに設置した棚は高校生用の各種教材のみで埋めつくしました。

先日のブログでも紹介した『Focus Gold』と『青チャート』に加えて地歴公民の用語集と日本史・世界史の図録,化学・物理・生物の図録,などなど。

どれもこの半年間,みんなに使い込まれて味が出てきたように思います。

 

 

理系生の地理,文系生の公民は,“様々な要因” からどうしても手薄になりがちです。

当塾の高2生には該当科目の『解決!センター』シリーズ (Z会出版) に早い段階で取り組ませ,高2生の9月から高3生の 4月までに 2周という指示で定期的に進捗を確認しています。

 

理系生の地理,文系生の公民は最後の最後までバタバタするも,結局得点できなかったという受験生が多いのが実情です。

これも当塾の『先を見据えた取り組み』の一環なのです。

 

先輩からのアドバイス

 

当塾の高2生が,志望校である大学・学部に通う先輩から直接アドバイスを受けています。

センター及び二次の入試のポイントはもちろんのこと,大学入学後に学ぶ内容や資格取得に向けた学生の雰囲気,学内の様子などを詳細に話してくれました。

 

写真手前に移る彼女は小3生から大学受験まで私が指導した教え子です。

こういった取り組みを頻繁に行なっており,これまでも例えば京都大,名古屋大,ICU,慶應義塾大などの教え子の協力を得ながら同様の取り組みを行なってきました。

目指す大学に通う先輩から直接アドバイスを受けられることは,受験生にとって本当に心強いでしょうし励みにもなると思います。

 

今回は,先日彼女ともう 1名の教え子と食事に行った際,当塾の生徒の相談に乗ってあげてほしいと依頼して実現したものです。

彼女とはもう10年を超える間柄であり,「人生の半分以上,先生にお世話になっています!」などと言ってくれる可愛い教え子です。

私の指導を受けていた当時も,本当に真面目に,コツコツと取り組む生徒でしたし,彼女の話ぶりからも大学に進学してからも真剣に勉学に励んでいるということがよく伝わってきます。

 

私が塾教員になってから18年半が経ちました。

多くの教え子たち,並びにその保護者の方々に育てていただいたおかげで現在の私があると感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

 

長い目で見た学力を身につけるために

 

『基礎英文法問題精講』(旺文社) と『基本英文700選』(駿台文庫) を当塾の高2生が取り組み始めています。

いずれも古くから多くの受験生を支えてきた伝統ある 2冊ですから,きっちりとやり遂げれば大きな成果が出ることは間違いありません。

 

『基礎英文法問題精講』は幅広い受験生・成績層をカバーする 1冊ですが,『基本英文700選』は和文英訳問題や要約等が出題される難関大志望の上位生に限られる 1冊です。

先日のブログでも紹介したように,私も高1生の終わり頃からこの 2冊に取り組み,大学入試英語の土台をつくり上げました。

 

『基本英文700選』に関しては使い手を限定するばかりか,さらには時代にそぐわない等の声もあると耳にしています (当塾の高2生は 4名が取り組んでいます)。

しかし,和文英訳力の素地をつくるために引き出しは 1つでも多いと良い,さらには英文和訳力をつけるために短文で解釈の練習をするのに素材が非常に素晴らしい。

この考えのもと,私は『基本英文700選』をいけると判断した生徒たちに薦めているのです。

 

『基本英文700選』に取り組んでいる生徒たちが,「この英文の構造は自分の解釈で間違いないか」または「なぜこの訳出になるのか」と,ノートを持って私のところへやって来ます。

日々の学校の課題はもちろん,他科目の学習にもしっかり取り組み,さらには当塾からの課題も熟しつつ,こういったプラスアルファの学習に取り組めることは非常に大切です。

試行錯誤を繰り返し,一つひとつの理解を積み上げ,それらを腹落ちさせることによって英語力は形成されていくのです。

 

 

写真は私が大学受験時に使用していた『基本英文700選』の 1ページで,高2生の頃 (今から20年以上前) に記入した書き込みです。

英文を構成要素ごとに分け,SV の結びつきを中心に英文全体を俯瞰して訳出を考え,自身の訳出と提示された日本語訳とを照らし合わせます。

 

解釈に間違いがないことを確認してから英文と日本文をひたすら書き,いずれも暗記するという作業を繰り返しました。

1周目を終えるのに 4ヶ月程度を要し,2周目・3周目でもすべてを覚えきることはできませんでしたが,以降は徐々にペースが上がり,開始から 1年でようやく定着させることができました。

 

非常に地味な方法ではありますが,学習とはこういうものなのです。安易な近道など存在しません。

数学の学習と同じでまずは “型” を身につけ,あとはそれを使い熟していくということが求められていますから,無暗に問題を解きまくって身につくスキルではないということです。

 

長文読解問題などのいわゆる総合問題は,語彙が落ち着き,文法が仕上がり,上記したような短文での解釈に繰り返し取り組んでからでも遅くはありません。

ですから,当塾の高校生集団指導コースでは,長文読解問題・総合問題の類は高2生の 1月からしか実施しません。

模試の対策と称して早期から付け焼刃的な総合問題の演習を繰り返したところで,長い目で見た学力は身につかないのです。

 

個別CT

 

当塾の小中学生集団指導コースは 5科の授業指導に加え,週1回の個別CT,月1回の将来設計指導というパッケージです。

現在はサマーターム期間中で特別編成としているために将来設計指導と小学生の個別CTはお休みとしておりますが,中学生の個別CT は継続しております。

 

写真は中1生の個別CT の様子です。本日はひたすら数学のプリントに取り組んでもらいました。

速く正確に解く,そしてミスなく解ききる練習をこれまでも繰り返してきましたが,この成果を定期テストや各種実力テストにおいて発揮できるよう今後も継続していきます。

 

 

個別CT ではグループごとに教員が 1名ついて解答までのプロセスを観察・確認するとともに,個別に〇つけと添削を行なっています。

生徒ごとのペースに合わせてに進めることができることに加え,一人ひとりに解説を行なえることが個別CT の強みと言えます。

 

当塾は集団指導がメインの進学塾ではありますが,こういった “個への対応” も非常に重要視しております。

しかし,“個への対応” だけにシフトしてしまうと生徒たちの自立心を養うことができなくなりますから,当塾は集団指導+個別指導というハイブリッド型を採用しているのです。

 

生徒たちは当塾の方向性を理解し,個別CT の時間だけでなく自習室に来た際もよく質問をしてくれます。

この姿勢が大きな成果を生むことになるということは言うまでもありません。

 

夢ノート

 

『夢なくして成長なし』

これまでのブログでも紹介してきましたが,当塾は教科指導と並び,将来設計指導にも力を入れております。

 

将来設計指導の一環として,生徒たちに『夢ノート』を活用させています。

『夢ノート』は “今学年のやりたいことリスト”,“日記”,そして “各種振り返り” の 3点の構成です。

上記 3点を盛り込むこと以外はフォーマット等を指定しておらず,子どもたちに自由に書いてもらっています。

 

写真は中学生の『夢ノート』で,定期テストで450点を超えることのできる生徒のものです。

定期テストに限らず学習に対する姿勢は申し分ありませんが,この生徒はまだ具体的に将来の夢を定めきれていない状況です。

 

まずは将来やってみたいことや自分で調べたこと,気づき等を『夢ノート』にどんどん書き留めます。

日々の気づきや振り返りを文字として蓄積し,それを読み返すことによって成長につなげてもらいたいというのが私たちの考えです。

 

単にテストで点数が取れればよい,志望校に合格できればよい。

いずれも通過点に過ぎないこれらのことに没頭するのではなく,私たちは “その先にあるもの” を見越して日々の学習に取り組める生徒たちを育成します。

 

『すぐ役立つことは,すぐ役立たなくなる』

 

入塾をご希望の中学生の保護者様からお問い合わせをいただく際,「直近の定期テストで 5科の合計が〇〇〇点,内申が△△なら□□高校に合格できるでしょうか」と質問を受けることがあります。

このような質問に対する私の答えは,決まって「わかりません」で通しております。

 

定期テストは学校によって,学年によって,さらに作り手によって大きく異なります。

定期テストの存在意義を否定はしませんが,狭い出題範囲による短期決戦型のテストにおいては,その生徒の “真の実力” を推し量ることはできません。

さらには,どういった取り組みを通じて得られた得点なのかによっても,その得点の価値や意味合いが変わってきます。

 

当塾では定期テストの予想問題を行なっていないことは,これまでのブログでもたびたび取り上げてきました。

同時に,当塾では中学校ごとの過去問など過去の出題に即した演習もほとんど行いません。

生徒たちには,指定された教科書の範囲を暗記すべきものは暗記してきちんと理解することと,学校のワークおよび授業ノートの振り返りをすることの指示を出すにとどめています。

あとは授業でオーソドックスな演習問題を数ページ扱うくらいです。

 

これは,決められた範囲を徹底してやり抜く重要性を伝えるという,当塾の指導方針です。

生徒たちが予想問題やら過去の出題に即した問題を大量に取り組み,その結果として得られた定期テストの得点に対し,私にはそれが価値のあるものと捉えられないのです。

 

予想問題等に頼り切っていては,大きく傾向が変わった際に対処できません。入試でも出題傾向が突然大きく変化することは多々あります。

つまり,これは子どもたちの自主性が失われてしまっている状態と言えます。

この状態に陥ると,高校生や大学生になってからも「予想問題がないと困る」ことになります。

社会に出て,容易には答えの見つからない問題に直面した時に,自分の力でそれを解決する術を見つけることができないのです。

 

『すぐ役立つことは,すぐ役立たなくなる』

 

この言葉は、私が以前に拝読した灘中・高の橋本武先生の著書 (『伝説の灘高教師が教える 一生役立つ学ぶ力』 (日本実業出版社)) の一文です。

橋本先生の含蓄のあるお言葉に感動するとともに,先生の指導方針は当塾の指導方針と合致する部分が多く,大変共感できる内容でありました。

 

当塾の指導においても “すぐに役立つもの” は排除して,長い目で見た指導の先にあるもの,私たちはそれを追及しているのです。

 

感謝の心

 

日頃から,私は生徒たちに「感謝の心を持って毎日を過ごすように」と話しています。

塾へ通うチャンスを与えてくれているご家庭に対して,支えてくれる大人に対して,競い合いつつも励まし合って高め合うことができる仲間に対して,そして毎日を健康で過ごせることに対して。

 

私は授業開始時の講話の中で,さまざまな “感謝” を話題に上げています。

生徒たちは頭の中に自分を支えてくれている人たちを思い浮かべながら,真剣な眼差しで私の話に耳を傾けます。

 

感謝の心が欠落して,「自分ひとりが頑張っているんだ」と独りよがりな行動をしていると,おそらくどこかで躓くことになります。

たとえテストの点数が良くても,または幸運にも受験は乗り越えられたとしても,人間関係で悩むことになったり,社会にうまく適応できなかったりすることが考えられます。

自分の周りにいるさまざまな人や物事に感謝の心を持つことにより,子どもたちの心は無限に成長するのです。

 

当塾では,生徒は私たち教員に対して敬語で話をするよう徹底しています。

これも “感謝の心” につながる内容ですが,生徒たちから見て当塾の教員は学校の先生方と同様に “自分を支えてくれる大人” であり,当然ながら友だちではありません。

 

同時に,生徒たちにきちんとした “挨拶” をさせることにも重きを置いています。

入室時の「こんにちは(こんばんは)」,授業開始時の「お願いします」,授業終了時の「ありがとうございました」,退室時の「さようなら」または「ありがとうございました」。

さらに,辞書や参考書など塾内の備品を使用する際の「〇〇を借ります」等々,当塾の生徒たちは皆元気よく私たちに挨拶をしてくれます。

 

昨日,入塾をご検討されている保護者の方が当塾の見学にお越しになった際,生徒たち (小学生) がその保護者の方に対しても挨拶をする姿に感心されていました。

この部分は生徒たちが自主的に行なっているものでありますから,その姿を見て私も非常に嬉しい気持ちになりました。

 

生徒たちは私たちに対しても感謝の心を持つとともに,敬意を払ってくれています。ここから良好かつ強固な信頼関係が生まれるのだと思います。

 

敬語および挨拶の徹底は,生徒たちの社会的資質を養うことも狙いとしております。

単にテストで点数が取れればよい,受験に合格できればよいというのは私たちの目指す教育ではないのです。

 

さまざまな人や物事に対して感謝の心を持つこと。

当塾で大切にしていること』のブログでも紹介したように,ごく当たり前のことではありますが,授業指導将来設計指導と並んで私たちが大切にしていることです。