“結果を出した” 子どもたちが塾内で実践していたこと

 

以前に『 “伸びる” 子どもたちに共通していること』と題してブログを綴りました。

今回のブログは,その補足的な位置づけとして『 “結果を出した” 子どもたちが塾内で実践していたこと』をテーマに書き綴ります。

 

なお,ここで定義する “結果” とは大学受験においてのものであり,例えば定期テストなど各種テストで高得点を収めたとか高校入試に合格できたといった途中経過のものではありません。

長い目で見た成果を追い求めるのが当塾の指導であり,これは眼前のテストで結果を残すための付け焼刃の指導とは一線を画すものです。

 

 

まず,“結果を出した” お子さま方のほとんどが,余程のことがない限り塾を休むことはありませんでした。

 

授業を休まないのは当然ながら,自習室へも足繁くやって来ることを小学部中学部の頃から習慣化し,高校部でもこれを継続できたお子さま方は,その多くが第一志望の合格を勝ち取っています。

“忍耐力” と “継続力” がキーワードと言えますが,これは決して容易なことではありません。

 

彼らにもきっと,今日は疲れたなあ,休みたいなあという日もあったでしょうし,体調が万全ではない日もあったでしょう。

それをぐっと堪え,今日も頑張るんだという気概を持って来る日も来る日もすべきことに取り組んだからこそ,彼らは大きな成果を上げることができたのだと思います。

 

ご家庭で行くよう促されて仕方なしに来たというような後ろ向きな姿勢では,高校入試はクリアできても大学入試では結果が出るはずもないのです。

 

 

次に,“結果を出した” お子さま方のほとんどが良い意味で人懐っこいところがあり,協力者を引き寄せることに長けていました。

 

日頃のちょっとした質問をはじめ,難関大を受験するのであれば各科の教員に添削依頼をしなければならない場面が数多くありますが,彼らはこれを上手にやっていた感があります。

大きな結果を残すためには協力者の存在は不可欠であり,一流のアスリートの方々も名コーチの存在があって数々の記録や結果を打ち立ててきたということからもこれは明白です。

 

併せて,彼らは適切な挨拶ができていました。

入退室時の「こんにちは」「さようなら」,授業時の「お願いします」といった挨拶をはじめ,「ありがとうございます」のようなお礼の言葉も,彼らは程良い声量で,かつ表情豊かに言えます。

 

これらはお子さまが幼い頃からのご家庭での接し方の賜物なのだろうと思いますが,彼ら自身も意識して取り組んでいるからこそ周囲から “評価” してもらえるのだと思います。

相手の懐に入るのが上手いと,大学進学後や社会へ出てからも得なことが多いですからね。

 

 

最後に,”結果を出した” お子さま方は,挙って高い集中力が備わっていたということが挙げられます。

 

授業中はもちろんのこと,自習室で学習に取り組んでいる際も,彼らは良い意味で夢中になっていました。

これは高い志を持ってすべきことに取り組んでいるからに他なりませんし,自立しているからこそ高い集中力を持続できるのだと思います。

 

学習中に集中力が続かない,または他のことが気になってしまうというお子さまは多いと思いますが,その原因がどこにあるかを探ることも重要です。

 

 

結果を出すためには日々コツコツと学習に取り組むことは当然のこととして,“結果を出した” お子さま方は上記したようなことも実践していました。

 

もちろん,全員が初めから全てを熟せたわけではなく,成長してそのようになったというお子さまもいます。

彼らの持ち前の “素直さ” がそうさせたのだろうと考えられますし,ご家庭で培ってこられた “忍耐力” も学習に活きたと考えられます。

 

蘇原中の期末テスト

 

蘇原中の前期期末テストの結果が出揃いましたので,素点の上位 5名の結果を紹介します。

 

451点《蘇原中・中2生 (通塾歴 3年 6ヶ月) 》〔学年末より22点ダウン〕

449点《蘇原中・中3生 (通塾歴 3年 8ヶ月) 》〔学年末より 7点ダウン〕

446点《蘇原中・中2生 (通塾歴 1年 7ヶ月) 》〔学年末より 1点ダウン〕

437点《蘇原中・中3生 (通塾歴 5年 6ヶ月) 》〔学年末より13点ダウン〕

412点《蘇原中・中2生 (通塾歴 0年 3ヶ月) 》〔学年末より21点ダウン〕

 

平均点が公表されていないために何とも言えませんが,合計点だけを見ると単元テストのようには得点できておらず難しかったのかなという印象です。

 

ほとんどの塾生が実力テストと比較しても得点がダウンしており,準備にかなりの時間・労力をかけていただけに本人たちも今回の結果は非常に残念そうでした。

なお,まとまった数が在籍 ( 7名) している中2生の 5科平均は426.3点でした。

 

蘇原中に在籍する当塾の塾生で自己ベスト更新は 0名という結果に終わりましたが,失敗することもあると学べたという意味では彼らの今後の成長につながると確信しています。

学年内申をきっちり確保するためにも,後期の単元テストと学年末テストに向けてしっかり準備させたいと思います。

 

おもてなしの精神

 

長きにわたって愛用しているものは数多くありますが,ほぼ毎日使うものでその最たるものは車です。

 

Mirai を開塾する 5年前の2010年に新車で購入し,総走行距離はまもなく20万kmに達しようかという代物です。

外観や音響,走行性能など細部まで非常に気に入って購入に至った経緯もあり,なかなか次の 1台が決められないまま11年以上が過ぎました。

 

これまで大きな故障は一度もなかったものの,およそ 1か月前から始動がうまくいかないことが何度かあり,ディーラーに点検を依頼しました。

整備士の方によると,いくつかのまとまった部品を取り換えなければならないとのこと。まあ,年数と走行距離が嵩んでいますから仕方ないですね。

 

私が通っているディーラーの整備士の皆様は丁寧な方ばかりで,私たち素人にも理解しやすい言葉で説明してくださって非常に助かっています。

併せて,日頃からお世話になっているコンサルタントの方と受付の方々はおもてなしの精神にあふれ,同じサービス業に携わる者として学ばせていただくことが多いです。

 

写真はディーラー内のラウンジで撮影したもので,点検等でディーラーを訪れる際はいつもこの空間で過ごします。

心地よい時間を提供してくださるディーラーの皆様に感謝です。

 

日々の変化

 

先日のブログで,東京の大学へ進学した教え子の成長が嬉しかったという話を紹介させていただきました。

 

私は塾教員として仕事をするうえでの最大の魅力は,以前のブログでも申し上げたように「長きにわたって子どもたちの成長に携われること」だと考えています。

子どもたちの成長を目の当たりにする度に,私はこの仕事をやっていてよかったと強く思います。

 

 

中学部から大学受験までの 6年,小学部からだと 8年や10年にわたって指導することもあり,その間に子どもたちはどんどん成長を遂げていきます。

促されてようやく机に向かっていた生徒が自らの意思で自習室へ来るようになったり,周囲に対する感謝の気持ちを口にするようになったりと “明らかな変化” が見て取れる瞬間があります。

 

もちろん,成長過程においては良い意味での変化だけに限らず,素直に指摘を聞き入れない,ないし自身の考えを曲げないことで意見が衝突するケースも多々あります。

これも子どもたちが成長していくにあたって不可欠なものですから,そういう時期もあって然るべきと受け入れる度量が必要です。

 

私には大学生の娘と高校生の息子がおりますが,実際の子育てをしている中でもそういった変化を感じることがあります。

長い時間を共に過ごしているからこそ感じられる変化。これこそが子育ての,かつ,子どもたちと関わる仕事の醍醐味だと思います。

 

教え子の成長

 

この夏も,大学生や社会人になった教え子と顔を合わせる機会が何度かありました。

 

コロナ禍でなければ食事をしながらゆっくりと話をしたいところですが,現在の感染状況を鑑みるとそういうわけにはいきません。

1日も早い終息を願うばかりです。

 

 

お菓子の入った箱を手に教室を歩いているのは今春より上智大で学んでいる卒塾生で,受験を控える後輩たち一人ひとりにお菓子を手渡しながら激励をしてくれました。

 

彼女は 8月の初めに東京から岐阜へ帰省しており,2週間以上を空けて来てくれる気遣いはさすがだと思いました。

こういった気遣いに加えて現在の学びの報告からも彼女の成長を感じましたし,後輩たちを激励してくれる姿を見て非常に嬉しかったです。

 

教科書のデジタル化で思うこと

 

利点も数多くあるということは承知しているものの,私は教科書のデジタル化 (デジタル教科書の導入) に否定的な立場です。

今回のブログはなぜ私がデジタル教科書に賛成していないのかを,私が大学受験時に社会科選択科目 (日本史) の学習に取り組んでいた際の経験も踏まえてお話しさせていただこうと思います。

 

社会科・理科の各科は教科書を読み込んで理解することが学習の基本であり,教科書を蔑ろにして問題集をひたすら解くやり方は正攻法ではありません。

これは大学受験だけでなく高校受験においても同じことが言えますし,私が大学受験時に取り組んでいた日本史に関してはこれが顕著だと思います。

 

私は農学部の出身ですが,大学受験時に日本史の学習は全く苦ではなく,むしろ気分転換の位置づけで取り組んでいましたし,センター試験の日本史は満点でした。

写真は私が当時に愛用していた山川出版社の『日本史用語集』で,使い込みが激しく装丁も外れてしまっているなどボロボロです (見た目は汚いですがゴミではありません)。

ちなみに,写真には写っていませんが教科書はもっとボロボロです。

 

 

紙の教科書の良さは,何と言っても気軽に手に取れるところです。

私は問題を解いていて不明点が出てきたら,まずは教科書を広げ,そして図録・用語集も併用しつつその内容を振り返っていました。

 

「確か〇〇ページのこのあたりに記載があったよなあ」などと思い返しながら,山川の教科書をパラパラと捲る。

その際,調べたかった事柄・項目に関連する “別の情報” を読み耽ったり,または,関連はしないが “以前から気になっていた情報” を眺めることもできる。

一見して回り道と思える作業ではありますが,私はこれも学習の醍醐味だと思うのです。

 

併せて,紙の教科書を手にしてその重みを感じ取り,さらにはその分厚さを目の当たりにすると,受験に向けてどのくらいの分量を学ばなければならないかが一目瞭然です。

開いた教科書の背表紙を見て「まだ先は長いなあ…」とか「折り返しは過ぎた!」など,それが自分を奮い立たせる材料になることもあります。

 

デジタル教科書はそういった物理的な情報も,なんとなくでしか理解できません。

 

 

教科書をメインに図録と用語集を机上に並べて配置し,視点を変えながら学習に取り組む。

大学受験の社会科や理科の学習においてはこういう場面が多々ありますが,仮に教科書・図録・用語集が全てデジタル化されてしまったらどうなってしまうでしょうか。

 

手元にタブレットや PC が 1台しかない場合,小さな画面の中で教科書・図録・用語集の全てを開かなければなりません。

私のように視力のよくない人間にはタブレットや PC の小さな画面は正直きついですし,アプリや画面を切り替えつつ使用するならば紙媒体のほうが圧倒的に使いやすいことは言うに及びません。

 

また,デジタルの場合,その様式・形態にもよりますが,紙媒体のような使い勝手を実現できるでしょうか。

アンダーラインを引いたり,補足事項を書き込んだり,教科書の角を折ったり付箋を貼ったりという作業は,デジタルで似たような作業ができようとも絶対に同列には成り得ないのです。

 

 

先に述べたように,デジタル教科書にも利点があります。

 

具体的には,読み上げ機能や動画の再生といった学習支援機能をはじめ,教科書をデータとして持ち歩けるようになることで物理的に荷物を減らせるといった利点が挙げられます。

さらには,誤字や誤記があった場合に訂正が容易にできるなど,出版する側にも利点があります。

 

しかし,だからといって紙の教科書を減らし,徐々にデジタル教科書の割合を増やしていくという流れには危機感を覚えます。

今後も紙の教科書を基本としつつ,デジタル教科書も併用するくらいの位置づけが望ましいと私は考えます。

 

暗記や理解が必要な読み物の類,特に繰り返し読み込む必要のあるものは紙で,図録や資料集はデジタル。これならまだ納得です。

 

実進学先

 

当塾はこの 3年間で計40名の卒塾生を送り出しました。

 

卒塾生40名のうち35名が国公立大に挑戦し,そのうち22名が現役合格を勝ち取りました (合格率は 62.9%)。

なお,名古屋大は 9名が受験して 7名が現役合格を勝ち取っており,同じくこれを率にすると 77.8% となります。

 

残念ながら国公立大を不合格となった大半は併願合格先の私立大へ進学しましたが,5名は浪人の道を選択しました。

彼らは東大や国公立大の医学部医学科といった難関大に挑むも不合格となり,それらに合格することを目標とし,併願先には合格していたものの敢えて浪人という “茨の道” を選んだのです。

 

 

以前のブログでもお伝えしたように,当塾の合格実績は『実進学先』の表記としていることに加え,卒塾生の数も公表しています。

また,当塾は一般的な塾や予備校なら絶対に公表しないであろう “浪人することになった卒塾生の数” も公表しています。

 

当塾の 4期生から 6期生,卒塾生40名の『実進学先』は以下の通りです。

 

[国立大] 18名

東京大学 理科一類 (滝高) [併願合格校 東京理科大]

名古屋大学 教育学部 (鶯谷高)  [併願合格校 南山大・中京大]

名古屋大学 工学部 物理工学科 (岐阜高)  [併願合格校 東京理科大・名城大]

名古屋大学 工学部 物理工学科 (岐阜東高)  [併願合格校 豊田工業大]

名古屋大学 工学部 機械⋅航空宇宙工学科 (岐阜高)  [併願合格校 同志社大・豊田工業大・名城大]

名古屋大学 工学部 環境土木⋅建築学科 (岐阜高)  [併願合格校 東京理科大・明治大・名城大]

名古屋大学 工学部 環境土木⋅建築学科 (岐阜高)  [併願合格校 なし]

名古屋大学 農学部 応用生命科学科 (岐阜高)  [併願合格校 明治大]

横浜国立大学 経営学部 (岐阜北高)  [併願合格校 明治大・立命館大]

名古屋工業大学 工学部 生命⋅応用化学科 (岐阜高)  [併願合格校 東京理科大・名城大]

名古屋工業大学 工学部 生命⋅応用化学科 (加納高)  [併願合格校 名城大・中部大]

金沢大学 人間社会学域 法学類 (岐阜高)  [併願合格校 愛知大・名城大]

岐阜大学 地域科学部 (岐阜東高)  [併願合格校 愛知大]

岐阜大学 教育学部 (岐阜北高)  [併願合格校 岐阜聖徳学園大・中京大]

岐阜大学 教育学部 (岐阜東高)  [併願合格校 なし]

岐阜大学 教育学部 (各務原西高)  [併願合格校 岐阜聖徳学園大]

岐阜大学 応用生物学部 共同獣医学科 (岐阜高)  [併願合格校 北里大]

岐阜大学 医学部 看護学科 (加納高)  [併願合格校 藤田医科大・岐阜医療科学大]

 

[公立大] 2名

神戸市外国語大学 外国語学部 中国学科 (岐阜北高) [併願合格校 南山大・神田外国語大]

岐阜県立看護大学 看護学部 (長良高)  [併願合格校 岐阜医療科学大・岐阜聖徳学園大]

 

[私立大] 15名 ※ 併願合格校は国公立大のみ記載

早稲田大学 文化構想学部  (南山高)

上智大学 理工学部 機能創造理工学科  (聖マリア女学院高)

南山大学 人文学部 心理人間学科 (岐阜高)

南山大学 人文学部 心理人間学科 (加納高)

南山大学 法学部 (岐阜高)

南山大学 法学部 (加納高)

南山大学 経済学部 (加納高)

名城大学 理工学部 電気電子工学科 (岐山高)

名城大学 理工学部 建築学科 (加納高)

名城大学 農学部 応用生物化学科 (加納高) [併願合格校 島根大学 生物資源科学部]

藤田医科大学 医療科学部 医療検査学科 (鶯谷高)

名古屋学芸大学 管理栄養学部 (岐阜北高)

中部大学 応用生物学部 環境生命科学科 (加納高)

岐阜医療科学大学 看護学部 (岐山高)

岐阜聖徳学園大学 教育学部 (岐阜東高)

 

[進学準備 (浪人) ] 5名 ※ 併願合格校は国公立大のみ記載

進学準備 (滝高)

進学準備 (岐阜東高)

進学準備 (滝高)

進学準備 (岐阜高) [併願合格校 名古屋工業大学 工学部 生命⋅応用化学科]

進学準備 (東海高)

 

40名というとちょうど学校の 1クラス分の人数ですが,40名のうち半数の20名が国公立大に進学し,15名は私立大へ進学,5名は浪人。

当塾の卒塾生たちの実進学先を見ると,まさに “進学校の縮図” のような状況と言えます。

 

 

公立高は合格実績を掲載する場合に Web 上で卒業生数も公表していることが多いですが,私立高は大学別の合格者数,しかも主要なところのみ掲載されているということが多い印象です。

私立高は現役・浪人の合格区分も明示されていないことが多いばかりか,中高一貫生あるいは高校からの入学生の区分も明示されていないことがほとんどです。

 

敢えて出す必要がないと考えてこのようにしているのか,あるいは隠す意図を持ってこのようにしているのか。

統一基準がないのをいいことに “やりたい放題” なのは私は違うと考えますし,これは塾や予備校に関しても同様のことが言えます。

 

“伸びる” 子どもたちに共通していること

 

私は塾で指導するようになって,今春で25年目を迎えます。

 

Mirai を開塾する前に勤めていた塾から通算すると,私はこれまで数千名に上る子どもたちを指導してきました。

今回のブログでは,私が感じている “伸びる” 子どもたちに共通していることを綴りたいと思います。

 

 

まず,“伸びる” お子さまは挙って素直です。

 

“伸びる” お子さまは,私たちがアドバイスすることを捻じ曲げることなく素直な気持ちで受け止めて実行に移せる器量をもっています。

同じことを繰り返し指摘しなければならないことはほとんどなく,日々成長していることが目に見えて伝わってきます。

 

また,素直なお子さまは忍耐力も兼ね備えていることが多く,辛いことから逃げませんし,目を背けません。

さらに,様々なことに対して「やってみよう」という気概をもっており,取り組む前から無理だと決めつけることはしないのです。

 

 

続いて,“伸びる” お子さまは良い意味で自立しています。

 

ここで言う自立とは指示待ちの状態ではなく,ある程度は自分で考えて動ける,そして自身のスケジュール管理ができるという意味です。

自身でのスケジュール管理に難がある場合,高校受験まではなんとか乗り越えられても,高校受験と比較して学習量が膨大である大学受験となると厳しいものがあります。

 

 

一見して達成が難しそうな課題,例えば非常に難易度が高いとか圧倒的に量が多い等の課題を与えると,スケジュール管理がきちんとできるかどうかが浮き彫りになります。

 

当塾では中3生に数回にわたって『 1ヶ月課題』と称して集中的に課題に取り組ませる機会があり,完了までのプロセスを俯瞰すると一目瞭然です。

取り組む前からできない理由を探したり,期限間近になって慌てたりする生徒がいますが,こういったケースはその先どこかで伸び悩むことになります。

 

先述したように,高校受験まではなんとか乗り越えられたとしても,大学受験や難関と言われる資格試験となるとそうはいきません。

将来的にそういったところを目標にするのであれば,中学生の時点から少しずつ自身でスケジュール管理をするよう努めるべきだと思います。

 

余談ではありますが,私は高校生にもなって,まして難関大に挑む高校生が,自身でスケジュール管理ができないのは論外と考えます。

最近は受験までのスケジュール管理を売りにする高校生対象の塾もあると聞きますが,大学生・社会人になったらどうするのかと甚だ疑問です。

 

 

最後に,“伸びる” お子さまは,総じて保護者様との関係性が良好であるご家庭が多いと思います。

 

当塾の保護者各位は,多くの方がお子さまと程良い距離感を保ちつつ,しっかりとお子さまの成長を見守っておられる印象を受けます。

さらに,私たちに対しても保護者様が程良い距離感を保っておられる感があります。

 

私が以前に勤めていた塾では,私たちに対して様々なご要望を仰られる保護者様が多くいらっしゃいました。

学習面だけでなく生活面も含めたお子さまへの指導であるとか,例えば毎日自習室を開けてほしい等の運営に関するご要望まで,その内容は多岐にわたるものでした。

 

しかし,思い返してみると,大学受験で大きな成果を残したお子さまであればあるほど,保護者の方が私たちに多くのご要望を寄せられることはありませんでした。

私たちに対して要望が多岐にわたるご家庭や,お子さまに対して干渉が過ぎると見受けられるご家庭は,高校受験まではある程度の結果が出ても,大学受験ではそうはいかないケースが多いのです。

 

この 6年を振り返ると,私たちにご相談やご質問をされる保護者の方はいらっしゃいましたが,多くのご要望をお寄せになる保護者の方はほとんどいらっしゃいませんでした。

開塾以来,多くの素晴らしいご家庭とご縁を持たせていただいていることに感謝です。

 

私立大が難化している

 

当塾は国公立大を志望する生徒が大半ではあるものの,私立大を第一志望としている生徒も一定数おります。

 

私立大にもいろいろなところがありますが,国公立大を志望する生徒の併願先も含めて私が重要視している指標は,推薦入試等の入学者割合が一般入試での入学者割合を超えていないという点です。

以前のブログでもお伝えしたように,大学の合格が最終目標になってしまってはいけないというのが私たちの考えです。

 

 

東海地区で,文系生の多くの志願者を集める南山大と中京大の 2大学で興味深いデータがあります。

 

2020年春の南山大と中京大の入学者数に占める “一般入試を経て入学した” 学生の割合を調べてみたところ,南山大は 66.7%,中京大は 44.1% という結果でした。

つまり,中京大は実に入学者の半数以上が推薦入試等を経ての入学なのです。

 

上記の指標は多くの大学が公表していますが,残念ながら一部の大学は非公表となっています。

TV で CM まで打って受験生を集めるのであれば,ここは有耶無耶にはしてほしくないところです。

 

推薦入試を経て入学する学生の割合が増えれば増えるほど,一般入試の入学枠は狭まるため入試難易度が上がるという弊害があります。

これも,一般入試が厳しくなっている要因の 1つなのです。

 

難関大の定義

 

いろいろな媒体で「難関大」というフレーズを耳にしますが,どこまでを「難関大」とするか明確な基準は存在しません。

 

では,国公立大はすべて「難関大」と呼べるかと言えば,当然ながら答えは No です。

入学辞退率を取り上げたブログでも取り上げたように,国公立大にも様々な大学がありますから,国公立大を一概に「難関大」と括ってしまうのは浅薄です。

 

さまざまな意見があろうかと思いますが,私は「難関大」の定義を,駿台文庫の青本がカバーする大学群 (国立10大学と私立 2大学) と考えています。

これらに加え,上記の大学群を除く国公立大 (42大学) の医学部医学科も「難関大」と呼ぶに相応しいでしょう。

 

 

日本には国公立と私立を合わせて800近くの大学があり,1学年で約60万人の大学生がいます。

 

以前のブログでも紹介しましたが,現在は世代のおよそ 2人に 1人,つまり約50% が大学進学しています。

私たちの頃はおよそ 4人に 1人 (約25%) が大学進学する時代でしたから,現在は単純計算で当時よりも大学進学率が倍増していることになります。

 

では,1学年60万人の大学生のうち「難関大」に在籍している大学生は何人いるかご存じでしょうか。

 

国立10大学 (旧帝大+東工大+一橋大+神戸大) の 1学年の定員を合計すると約2.5万人,42大学の医学部医学科の 1学年の定員は約0.5万人ですから,これらを合計すると約3万人となります。

さらに,2私大 (早稲田大+慶応義塾大) の 1学年の定員合計は約1.5万人ですから,1学年における「難関大」の在籍者数は約4.5万人ということになります。

 

大学生のおよそ13人に 1人,率でいうと大学生の 7.5% が「難関大」の学生ということになります。

世代全体で見るとおよそ120万人のうち4.5万人ですから,およそ27人に 1人,つまり小学校の 1クラスのうち 1人から 2人が将来「難関大」の学生になる計算です。

 

毎年多くの受験生が志望し,競争に勝ち抜いた学生のみが入学を許可される「難関大」。

彼らは “世代のおよそ27人に 1人の逸材” として,各分野における日本の将来を担う責務も負っているのです。