
国公立大学は全国に180あり,一般入試で見ると競争倍率は例年 4倍前後で推移 (約10万人の定員に対して約40万人の受験生が志願) する状況となっています。
ただ,ご存じの方も多いと思いますが,国公立大学は合格したら必ず入学しなければならないということはなく,国公立大学全体でも例年合格者の10%前後が入学を辞退しています。
辞退に至る要因は志望度の高い大学 (国公立大に中後期とも合格のケースや私立大) に合格した,海外大へ進学する等が考えられますが,中には合格者の半数以上が入学を辞退する公立大もあります。
以下の16大学は直近の 3ヶ年の入学辞退率の平均が25%を超える国公立大学で,左から2022年度・2023年度・2024年度の入学辞退率,( ) 内は2024年度の合格者数と辞退者数を表記しました。
数値は文部科学省『国公私立大学入学者選抜実施状況』の令和4年度・令和5年度・令和6年度の報道発表資料より抽出しました。
釧路公立大 [公・北海道] 59.95%・58.50%・67.39% (926名の合格者のうち624名が入学辞退)
――― 入学辞退率が 3ヶ年平均で60%超 ―――
新潟県立大 [公・新潟県] 55.70%・56.49%・56.24% (866名の合格者のうち487名が入学辞退)
――― 入学辞退率が 3ヶ年平均で50%超 ―――
下関市立大 [公・山口県] 41.47%・45.63%・40.31% (851名の合格者のうち343名が入学辞退)
――― 入学辞退率が 3ヶ年平均で40%超 ―――
都留文科大 [公・山梨県] 35.54%・34.89%・30.55% (1,280名の合格者のうち391名が入学辞退)
三条市立大 [公・新潟県] 47.44%・27.12%・26.19% (126名の合格者のうち33名が入学辞退)
岐阜薬科大 [公・岐阜県] 33.70%・28.87%・35.47% (172名の合格者うち61名が入学辞退)
北見工業大 [国・北海道] 31.85%・31.32%・33.98% (668名の合格者のうち227名が入学辞退)
国際教養大 [公・秋田県] 28.33%・31.62%・33.46% (272名の合格者のうち91名が入学辞退)
高崎経済大 [公・群馬県] 31.43%・30.45%・30.33% (1,378名の合格者うち418名が入学辞退)
奈良県立大 [公・奈良県] 27.43%・34.26%・29.96% (237名の合格者うち71名が入学辞退)
――― 入学辞退率が 3ヶ年平均で30%超 ―――
長野大 [公・長野県] 29.70%・26.88%・32.83% (527名の合格者うち173名が入学辞退)
兵庫県立大 [公・兵庫県] 30.76%・27.51%・25.38% (1,718名の合格者うち436名が入学辞退)
岡山県立大 [公・岡山県] 30.70%・28.65%・22.82% (517名の合格者うち118名が入学辞退)
山陽小野田市立山口東京理科大学 [公・山口県] 31.63%・24.44%・24.87% (595名の合格者うち148名が入学辞退)
公立諏訪東京理科大 [公・長野県] 29.77% 22.31%・27.77% (443名の合格者うち123名が入学辞退)
室蘭工業大 [国・北海道] 22.85%・28.14%・25.03% (855名の合格者うち214名が入学辞退)
辞退者がかなり出ることを見越して多めに合格者を出しているとはいえ,国公立大学でありながら合格者の 4人に 1人以上が入学を辞退する状況は決して好ましくない状況です。
中期日程での実施等,辞退者数が多いのは日程が影響しているという声もありそうですが,私は中期日程と一部の公立大学で採用されている特別日程は廃止すべきと考えています。
入試が多様化している昨今,そもそも中期日程は時代に合っていると言えませんし,もし前期日程に切り替えて受験生が集まらなくなるのであれば,そこまでの大学ということでしょう。
なお,上記16大学の中には国公立大学にもかかわらず,前期日程で共通テストは 3科目であるうえボーダーが40%台,さらには二次試験を実施しないという大学まであります。
共通テストは 6教科 8科目で二次試験は記述式という,多くの方が国公立大学の入試で一般的と考える選抜方法とは大きくかけ離れたやり方で選抜を行なっている大学があることに驚かされます。
どういう受験生がどういう意図でもって受験し,入学辞退率がここまで高い状態になっているのか。
以前のブログでも取り上げたことがありますが,これが国公立大の合格者数を 1名でも多く見せることを目論む方々によって “つくられた” ものであれば非常に残念です。